平成１8年度税制改正の概要

（注）平成１7年１２月１５日付　与党「平成１８年度税制改正大綱」に拠ります。今後の国会審議で修正されることもありますのでご注意ください。

法人関係項目

＜研究開発・情報基盤強化税制＞

• 試験研究費の総額に係る税額控除制度につき、増加試験研究費の税額控除制度と統合し、平成１８年４月１日から平成２０年３月３１日までに開始する事業年度において試験研究費のうち比較試験研究費を上回る部分の税額控除率につき５％を加える措置を２年間認める。
• 中小企業技術基盤強化税制につき、平成１８年４月１日から平成２０年３月３１日までに開始する事業年度において試験研究費のうち比較試験研究費を上回る部分の税額控除率につき５％を加える措置を２年間認める。
• 青色申告書を提出する事業者が平成１８年４月１日から平成２０年３月３１日までに情報セキュリティ対策に対応する設備等を取得した場合
  • 資本金１億円を超える法人
    • 取得価額の５０％相当の特別償却または１０％の税額控除が選択可能
  • 資本金１億円以下の法人
    • 取得価額の５０％相当の特別償却または１０％の税額控除が選択可能
    • 一定のリースの場合もリース総額の６０％相当額につき１０％の税額控除可能（当期の法人税額の２０％限度）
• 法人が役員に支給する利益を基礎として算定される給与のうち、非同族法人が業務執行役員に支給する給与については損金経理している、算定方法につき報酬委員会における決定等適正な手続きがとられている、かつ有価証券報告書等で開示している等一定の要件を満たせば損金に算入する。（業績連動役員賞与の損金算入）

＜中小企業・ベンチャ−企業＞

• 留保金課税制度の改正
  • 同族会社の判定は３株主グループによる判定から１株主グループによる判定とする。
  • 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の経営革新計画の承認を受けた中小企業者はその承認を受けた計画に従って経営革新のための事業を実施している各事業年度は不適用とする。
  • 留保金控除額は次のうち最大の金額とする
    • 所得等の金額の４０％（中小法人は５０％）
    • 年２０００万円
    • 利益積立金が２５％に満たない場合にはその満たない部分の金額
    • 中小法人において自己資本比率が３０％に満たない場合にはその満たない部分の金額

• 同族会社の役員報酬の給与所得控除の損金不算入制度の創設
  • 同族関係者が発行済株式の９０％以上を保有し、かつ常務役員の過半数を占める場合、当該業務主宰役員に支給する給与のうち給与所得控除に相当する部分は、会社の損金に算入しない。
  • 但し、同族会社の所得等の金額（所得金額と計算上損金に算入した当該役員給与の合計額）の直前３年以内に開始する事業年度における平均額が以下の場合は適用除外
    • ８００万円以下
    • ８００万円超３０００万円以下で、かつ、平均額に占める当該役員給与の割合が５０％以下である場合

• 法人が役員に対して支給する給与のうち、月額給与に加え、次に掲げる給与も損金に算入する。
  • 利益を基礎として算定される給与以外の給与のうち、確定した時期において確定した額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与
  • 利益を基礎として算定される給与のうち、非同族法人が業務執行役員に支給する給与については当該事業年度に損金経理している、算定方法につき報酬委員会における決定等適正な手続きがとられている、かつ有価証券報告書等で開示している等一定の要件を満たせば損金に算入する。（業績連動役員賞与の損金算入）

• 交際費等の損金不算入制度延長
  • １人あたり５０００円以下の一定の飲食費を除外して２年延長

• 中小企業の少額資産即時償却制度延長
  • 中小企業等が取得価額３０万円未満の減価償却資産を取得したときは全額損金算入できる制度。
  • 但し、上記の合計が３００万円を超える部分は除く
  • 平成２０年３月３１日まで延長

• 中小企業投資促進税制について対象資産に一定のソフトウェアおよびデジタル複合機を加え、電子計算機以外の器具備品を除いて２年間延長

• 欠損金の繰り戻し還付の不適用制度の創業５年以内の中小企業者の適用除外措置を２年延長

個人関係項目

＜定率減税額の全廃＞

• 所得税は平成１９年１月から、住人税は平成１９年６月徴収分から適用
  

＜所得税率、個人住人税率の変更＞

国から地方への税源移譲のため、変更

• 所得税の税率改正

• 平成１９年１月１日以降に支払う給与および公的年金等について適用する。
• 特定公的年金の源泉徴収率を５％（現行１０％）に引き下げる。　
• 平成１９年分以降の所得税において住宅ローン控除を受けている者につき、税源移譲に伴う調整を講じる。　　　　　　　

• 個人住民税の税率改正

• 平成１９年度分以後の個人住民税に適用する。
• 所得税と住民税の人的控除額の差に基づく負担増加を調整する措置を講じる。

＜地震保険料控除等の創設＞

（国税）

• 地震保険契約に係る保険料を全額控除・・・・最高５万円
• 平成１８年１２月３１日までに締結した長期損害保険契約等にかかる保険料従前の制度で控除・・・最高１万５千円
• 上記合わせて最高５万円
• 既存住宅の耐震改修をした場合の特別控除制度の創設
  • 平成１８年４月１日から平成２０年１２月３１日までに、一定の区域内のその者の居住する家屋（昭和５６年５月３１日以前に建築された一定のもの）の耐震改修をした場合、改修費用の１０％(２０万円限度）の税額控除

（地方税）

• 地震保険契約に係る保険料を２分の１控除・・・・最高２．５万円
• 平成１８年１２月３１日までに締結した長期損害保険契約等にかかる保険料は従前の制度で控除・・・最高１万円
• 上記合わせて２．５万円
• 既存住宅の耐震改修をした場合の固定資産税の減額制度の創設
  • 平成１８年１月１日から平成２７年１２月３１日までに、その者の居住する家屋（昭和５７年１月１日以前から存在していた一定のもの）の耐震改修工事（工事費３０万円以上）をし、市町村に申告したものに限り、下記の期間、当該住宅にかかる固定資産税を２分の１に減額（減額対象は１戸あたり１２０平方メートルまで）
    • 平成１８年１月１日から平成２１年１２月３１日までに改修した場合は３年間
    • 平成２２年１月１日から平成２４年１２月３１日までに改修した場合は２年間
    • 平成２５年１月１日から平成２７年１２月３１日までに改修した場合は１年間
  • 一定の検査機関の証明書を添付して改修後３ヶ月以内に申告

＜土地・住宅税制＞

（国税）

• 登録免許税の軽減一部継続

  • 平成１８年４月１日から平成２０年３月３１日までの登記に適用

  	本則	特例措置
  所有権の移転登記（売買）	２％	１％
  同（遺贈、贈与）	２％	＊１％
  同（相続、合併）	０．４％	＊０．２％
  所有権の保存登記	０．４％	＊０．２％
  仮登記（所有権の移転、所有権の移転請求権の保全）	１％	＊０．５％

（注）＊印の部分の特例は廃止され、本則によることになります。

• 住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例を２年延長
  • いわゆる５分５乗方式による住宅取得資金の贈与の特例の復活はなし（平成１７年１２月３１日にて終了）
• 優良賃貸住宅の割増償却制度について、平成１８年４月１日から平成２０年３月３１日までに「中心市街地の活性化に関する法律（仮称）」の認定を受けた一定の優良賃貸住宅を取得した場合は５年間３６％（耐用年数が３５年以上のものには５０％）の割増償却ができる措置を追加し、特定優良賃貸住宅を対象から除外する。
• 特定資産の買換え特例について、一部見直しを行ったうえで、適用期限を平成２２年１２月３１日まで延長

(地方税)

• 固定資産税
  • 固定資産税の評価替えに伴う負担軽減措置を講じる
  • 新築住宅に係る固定資産税の減額措置について、２年間延長
  • 特定優良賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置について、戸数要件の下限を１０戸、床面積要件の下限を５０平方メ−トルとしたまま２年間延長
  • ３大都市圏の特定市街化区域農地に中高層耐火建築の貸家住宅を新築した場合の減額措置を一部見直した上で３年間延長
  • 既存住宅の耐震改修をした場合の固定資産税の減額制度の創設（再掲）
    • 平成１８年１月１日から平成２７年１２月３１日までに、その者の居住する家屋（昭和５７年１月１日以前から存在していた一定のもの）の耐震改修工事（工事費３０万円以上）をし、市町村に申告したものに限り、下記の期間、当該住宅にかかる固定資産税を２分の１に減額（減額対象は１戸あたり１２０平方メートルまで）
      • 平成１８年１月１日から平成２１年１２月３１日までに改修した場合は３年間
      • 平成２２年１月１日から平成２４年１２月３１日までに改修した場合は２年間
      • 平成２５年１月１日から平成２７年１２月３１日までに改修した場合は１年間
    • 一定の検査機関の証明書を添付して改修後３ヶ月以内に申告
• 不動産取得税
  • 標準税率（４％）を３％としている措置
    • 住宅および住宅用地に係るもの・・・平成２１年３月３１日まで延長
    • 商業地等の住宅用地以外の土地に係るもの・・・同上
    • 店舗、事務所等の住宅以外の家屋に係るもの・・平成１８年４月１日から平成２０年３月３１日までは３．５％、以後は４％
  • 不動産取得税の課税標準を価格の２分の１とする特例措置は平成２１年３月３１日まで延長
  • 新築特例適用住宅用地に係る不動産取得税の減額措置について、土地取得後住宅新築までの経過年数要件を３年からやむをえない事情がある場合には４年以内にする現状のまま２年間延長
  • 不動産取得税について、新築住宅を宅地建物取引業者が取得したとみなす日を住宅新築から１年（本則６月）に緩和する措置を２年間延長

＜国際課税＞

• 非永住者制度の対象者を日本国籍を有さず、過去十年間のうち５年以下の期間、国内に住所または居所を有する個人とする。
• いわゆる過小資本税制について一定の改正を行う。

＜酒税・たばこ税＞

• 酒税の分類を簡素化
• 税率見直し
• 平成１８年５月１日から実施
• たばこ税を引き上げ（平成１８年７月１日から実施）

その他改正項目

• 寄付金控除の適用下限を５千円（現行１万円）に引き下げる

• 公示制度の廃止
  • いわゆる「長者番付」の公表の廃止・・・納税者が犯罪に巻き込まれるケースも生じており、役割は終わったとされる。
  • 同時に、相続税、法人税における公示制度も廃止

• 物納制度の改正
  • 物納不適格財産の明確化
  • 物納手続きの明確化
  • 物納申請の許可に係る審査期間の法定化
  • 物納申請却下者の延納の申請
  • 延納中の物納の選択

• 欠損法人を利用する租税回避行為の防止
  • 欠損法人が特定の株主等によってその発行済み株式総数の５０％を超える株式を保有された場合において、その保有された日から５年以内に、従前からの事業を廃止し、かつその事業規模を大幅に超える事業を開始したこと等一定の事由に該当するときは、その該当する日の属する事業年度前に生じた欠損金額について、欠損金の繰越控除制度を適用しない。また、当該事業年度開始の日から３年以内に生ずる資産の譲渡損失を損金に算入しない。

• 会社法の制定等に伴う改正
  • 配当関係
  • 株式等に関する取引関係

• 組織再編税制についての見直し

（注）各改正の適用要件等の詳細については個別にご相談ください。

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